1. 音程と協和
対位法は一つの測定から始まります。同時に鳴る二つの声部の、縦の距離です。このコースで扱うすべて——並行禁則も、不協和音の処理も、終止も——はこの距離の分類の上に成り立っています。
音程とは
音程は二つの音の距離です。下の音から上の音まで音名を両端込みで数えます。C-D-E-F-G は五つなので、C から G は 5度です。MIDI はピッチを半音数で持つため、エンジンには C から G が 7 半音としても見えています。検証器は半音数を 12 で割った余りで判定するので、「オクターヴ+3度」も協和判定の上では「3度」と同じです。
三つの系統
バロックの実践は音程を三つの系統に分けます。エンジンはこの分類を、協和音程クラスの集合 {0, 3, 4, 5, 7, 8, 9}(半音数 mod 12)としてそのまま実装しています。
| 系統 | 音程 | 半音数 (mod 12) | エンジンでの扱い |
|---|---|---|---|
| 完全協和 | ユニゾン・5度・オクターヴ | 0, 7 | 安定した柱。ただし並行運動での反復は禁則(第2章)。 |
| 不完全協和 | 3度・6度 | 3, 4, 8, 9 | 対位法の日常の響き。並行も自由。 |
| 不協和 | 2度・7度・三全音 | 1, 2, 6, 10, 11 | 役割が必要——経過、掛留、保続音の文脈など(第3章)。 |
| 特別扱い | 完全4度 | 5 | 協和集合には入っているが、上声部間の強拍4度は専用ルールが退ける。 |
譜例のラベルは標準的な略記を使います——P5(完全5度)、M3(長3度)、m10(短10度)、A4(増4度、すなわち三全音)。略記が初めてなら、入門ページの音程の名前と種別にすべての対応表があります。
完全協和音程——安定だが空虚
完全音程は音響的に最も純粋です。周波数比が単純(オクターヴは 2:1、5度は 3:2)だからこそ危険でもあります。完全音程で固定された二声はあまりによく溶け合い、耳は二つの声部を聞き分けられなくなります。対位法が求めるのは、支点(開始と終止)での安定と、それ以外の場所での独立です。
不完全協和音程——主力の響き
3度・6度とその複音程(10度・13度)は、豊かでありながら推進力を持つ響きです。生成された二声テクスチュアの縦の響きの大半は不完全協和で、3度や6度の並行はバロック書法の常套句そのものです。エンジンがこれを減点することはありません。
バッハはこの自由を全速力で使います。平均律 I 巻の変ホ長調プレリュードでは、二本の16分音符の線がまるまる1小節、厳格な並行10度で駆け抜けます。
そしてハ短調プレリュードの1小節は、二つの家族の分業をそのまま見せてくれます——強い位置に柱として立つ完全協和と、その間の動きをすべて担う6度です。
不協和音程——義務を負った緊張
協和・不協和は美醜ではなく役割
協和は、構造的な響きとしてそのまま置ける音程。不協和は、経過・掛留・準備・解決といった仕事が必要な音程です。検証器は「きれい/汚い」を判定しているのではなく、不安定な音程に宣言された音楽的理由があるかを見ています。合法的な仕事の一覧は第3章にあります。
4度——対位法の境界例
完全4度の扱いは何世紀も議論されてきました。エンジンの実装は、その歴史的な折衷をそのまま映しています。
- バスに対する4度は不協和として振る舞い、3度へ下行解決しようとします(これが第3章の 4-3 掛留の骨格です)。
- 支えのあるバスの上で上声部どうしが作る4度は許容されます。ただし転回対位法では4度が5度に裏返るため(第2章)、上声部ペアの強拍(小節頭)に柱として置かれた4度は
fourth_only_on_weak_beatが退けます。
検証器はこの章をどう見るか
音程の分類はそれ自体がルールなのではなく、垂直系ルールが参照する判定表です。
| 概念 | 使われる場所 |
|---|---|
協和音程クラス集合 {0, 3, 4, 5, 7, 8, 9} | vertical_dissonance(第3章)、掛留の準備の検査 |
| 完全音程(mod 12 で 0, 7) | 並行・隠伏並行のルール(第2章) |
| 適用範囲付きの4度 | fourth_only_on_weak_beat(第2章) |
第2章 声部の運動と並行禁則へ進んでください。