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6. フーガの技法

フーガはソナタのような「形式」ではなく、手続きです。一つの主題(主唱)が声部から声部へと入り、近親調を旅し、熱を帯びて戻ってくる。この手続きの装置はどれも、宣言された素材と出力された音とのあいだの契約であり、検証器が一つずつ検査します。これらのルールは第2〜3章の局所的な音程ルールの上に重なり、そちらも全編で適用され続けます。

フーガの手続きをひと目で

提示部: 各声部が順番に主唱またはその応唱を歌い、対主題が寄り添う。嬉遊部: 主題の動機から導かれたゼクエンツが調から調へ移動する。展開: 中間入りが近親調で主題を再提示し、ストレッタと保続音が終結へ向けて温度を上げる。

主唱と応唱

第2の声部が入るとき、主題は属調に移して歌われます。これが応唱です。そのままの移調なら実応。しかし主唱が主音→属音の輪郭で始まる場合、そのまま移調すると音楽は即座に主調から引きはがされてしまいます。バッハが常用した解決が変応(トーナルアンサー)です。冒頭だけ主音↔属音を写像し、残りは普通に移調します。

フーガ技法主唱と変応(トーナルアンサー)声部を順に再生
応唱が主唱を5度上へそのまま移調したものなら「実応」、冒頭だけ主音↔属音を入れ替えて調の重心を保つのが「変応」です。提示部で音楽が主調から離れすぎないための調整で、検証器は素材が変応を宣言しているとき、まさにこの冒頭の写像を検査します。
tonal_answer_dominant_mapping主唱は主音で始まり、応唱は属音で始まります。冒頭は機械的な移調ではなく I と V を写像した形です。

素材が変応を宣言しているとき、tonal_answer_dominant_mapping はまさにこの冒頭の写像を検査します。主唱の開始ピッチクラスは I↔V で写像されなければなりません。主音でも属音でもない音で始まる主唱は、調整の必要がないため自動的に合格します。

その教科書的な実例が、バッハ自身の手にあります——平均律 I 巻のハ短調フーガの冒頭です。二つの線を順に再生して、たった一音だけ曲げられた音を聴き取ってください。

バッハの実例バッハ: 平均律 I 巻 ハ短調フーガ — 変応声部を順に再生
最もよく引用される変応の実例——ハ短調フーガ(平均律 I 巻、BWV 847)の冒頭です。主唱は C–B♮–C と始まり、G——主音から属音——へ落ちます。これを機械的に5度上で応えると4音目は D になり、提示部は早々に主調から滑り落ちてしまう。バッハは G–F♯–G と応え、その一音だけを C へ曲げ戻します。主音は属音へ、属音は主音へ、尾部は正確な移調。tonal_answer_dominant_mapping が検査するのは、まさにこの冒頭の写像です。
tonal_answer_dominant_mapping主唱の4音目は属音(G)へ落ちます。応唱はその一音だけを主音(C)へ曲げ戻し、残りは忠実に移調しています。

対主題

フーガ技法対主題は鳴り続ける
対主題は、主題が再登場するたびに寄り添う決まった相方の旋律です。その役割を果たすには実際に鳴っていなければなりません。検証器は応唱の区間を4分音符単位でサンプリングし、対主題声部が途切れていればこのルールで弾きます。
countersubject_continuous応唱が主題を歌うあいだ、対主題は休みなくすべての拍を満たしています。

対主題は、実際に寄り添っていてこそ意味があります。countersubject_continuous は応唱の区間を4分音符単位でサンプリングし、各位置で対主題の声部が鳴っていることを要求します。(このペアは上下を入れ替えて再利用される前提で書かれるため、第2章の転回対位法ルール——invertible_at_octavefourth_only_on_weak_beat——も同じパッセージを見張っています。)

同じハ短調フーガでは、応唱が入った瞬間に対主題も入り——その下で一度も鳴り止みません。

バッハの実例バッハ: BWV 847 — 働く対主題
ハ短調フーガの第3〜4小節。上が応唱、下が対主題——下行する16分音符の音階、音域の跳躍、そして上っていく8分音符。決してしないことに注目してください。休むことです。応唱の窓のすべての4分音符位置で対主題が鳴っている——countersubject_continuous が行う検査は文字どおりこれです。このペアは上下を入れ替えて再利用される前提で書かれており、その性質は第2章の転回対位法ルールが見張ります。同じフーガの第7〜8小節が、その投資を回収する瞬間です。
countersubject_continuousソプラノが応唱を歌うあいだ、アルトの対主題は一度も休まず窓のすべての4分音符位置を満たしています。

嬉遊部とゼクエンツ

嬉遊部はフーガの移動手段です。その素材は自由な即興ではありません。主題の宣言された断片から、宣言された変形によって導出されなければなりません——原形は断片をそのまま新しい位置に置き直し、反行は輪郭を上下逆さに鏡映し、逆行は後ろから読み、拡大・縮小はすべての音価を引き伸ばし・切り詰めます(第4章の増音程とは別物です)。そして、たいていはゼクエンツ——同じ種を一段ずつ上または下に置き直す形——で進みます。

嬉遊部下行ゼクエンツ
ゼクエンツは、嬉遊部が調から調へ移動するための乗り物です。短い種となる音型を、順に一段ずつ下(または上)に置き直していきます。検証器は各段が宣言されたオフセットどおりの「正確な移調」であることを確認し、言い換えはこのルールで落とします。
sequence_pattern_consistencyepisode_motif_derived2小節目が1小節目をそのまま1度下へ移調して繰り返しています。

宣言される変形には、種を上下逆さにするものもあります。順に再生して、鏡映しを耳で確かめてください。

嬉遊部動機の反行形 — 種を上下逆さに声部を順に再生
嬉遊部の素材は、宣言された主題の断片に宣言された変形を適用したものでなければなりません。反行はその中で最も鮮烈な変形です。1度上がる動きは1度下がる動きに、3度上は3度下になります。二つの線を順に再生してみてください。二つ目は紛れもなく一つ目の逆さまです。検証器は変形から期待される音列を再計算し、音高・音価・ティックを突き合わせます。
episode_motif_derived導出された線が、種のすべての歩みを反対方向に鏡映しています。

バッハはまさにこの変形からフーガの大きな区画を組み上げます。嬰ニ短調フーガでは主題とその鏡像が対等のパートナーで、下に引いた反行形は、別の反行エントリとのストレットの中に現れます。

バッハの実例バッハ: 平均律 I 巻 嬰ニ短調フーガ — 主題を上下逆さに声部を順に再生
嬰ニ短調フーガの主題は、主音から属音へ5度を上り、回り道をして戻ってきます。フーガの後半に入るとバッハはこの線を丸ごと逆さにします。ここに引いた反行形(第45小節)は属音から主音へ5度を下り、回り道をして上がってくる——しかも1小節前にバスへ入った別の反行形を追いかける、反行同士のストレットの中で。二つの段を順に再生してください。リズムは完全に同一、輪郭は音階の中での正確な鏡です。これはエンジンの嬉遊部ルールが期待される音列を再計算して検査するのと同じ変形です。読みやすさのため変ホ短調の綴りで引用し、各エントリの周りの声部は省略、引用末尾の音は2小節の枠に収めるため切り詰めています。
episode_motif_derivedリズムは一音残らず同じ——しかしすべての上行が、同じ音階幅の下行で応えられています。

ハ短調フーガは、提示部が一息つくその瞬間に二つの契約を並べて見せてくれます。第5〜6小節——応唱とバスの入りのあいだ——は、主題自身の頭の音型を半小節ごとに1度ずつ上へ積み上げていくゼクエンツです。

バッハの実例バッハ: BWV 847 — 一段ずつ上る最初の嬉遊部
ハ短調フーガの第5〜6小節——応唱(第3〜4小節)とバスの入り(第7〜8小節)をつなぐ橋です。嬉遊部の素材は新作ではありません。ソプラノの16分音符のセル E♭–D–E♭ は主題冒頭の刺繍音型そのもので、半小節ごとに正確に1度ずつ上——E♭、F、G——へ置き直されます。アルトも上行する16分音符の走句で自分のゼクエンツを答えます。導出された素材と正確な段——episode_motif_derivedsequence_pattern_consistency が検査する二つの契約です。ソプラノ最後の F は第7小節へタイでつながれ、そこでバスの入り——第2章が転回対位法の実例として引用するパッセージ——が引き継ぎます。
episode_motif_derivedsequence_pattern_consistency主題の頭の音型が半小節ごとに1度ずつ上に置き直され、アルトが対になる音階走句を走らせます。
ルール契約
episode_motif_derived嬉遊部の断片として出力されたすべての音が、宣言された元スライスに宣言されたモチーフ操作を適用した結果——音高・音価・ティック——に一致する。
sequence_pattern_consistencyゼクエンツの各段は、種を宣言されたオフセットで正確に移調したもの。言い換えは失敗。

模倣

模倣4度下の模倣エントリ
模倣は契約です。後続声部は宣言された時間差と音程差のとおりに入らなければなりません。検証器はエントリの時刻と音程オフセットの両方を、先行声部の断片と突き合わせて検証します。
imitation_entry_match後続声部が、先行声部の音型を1小節遅れ・4度下で再現しています。

模倣は主唱/応唱の考え方を任意の素材に一般化したものです。後続声部は、先行声部の断片を宣言された時間差と音程差で再現します。imitation_entry_match はその両方の数値を検証します——先行声部のティック + 時間差 で入り、先行声部の音高 + 音程差 で歌うこと。

バッハはこの契約のための実験室を丸ごと書き残しました——ゴルトベルクのカノン群です。その最後の一つでは、宣言された二つの数値がそのまま耳に聞こえます。1小節、そして9度。

バッハの実例バッハ: ゴルトベルク変奏曲 — 9度のカノン
第27変奏(BWV 988)。曲集最後のカノンであり、自由バスを持たない唯一のカノン——二声だけ、他には何もありません。先行声部が歌ったものを、後続声部は1小節遅れ・長9度(14半音)上でそのまま歌い直します。あまりに正確なので、C♯ までそのまま旅をします。これこそ imitation_entry_match が検証する契約で、二つの数値が明示されています。先行声部のティック + 時間差 で入り、先行声部の音高 + 音程差 で歌うこと。後続声部が冒頭を繰り返すあいだ、先行声部はすでに次へ進み、まばらな合いの手を打っています——厳格なカノンに息をさせるテクスチュアです。
imitation_entry_match後続声部が先行声部を、ちょうど1小節遅れ・ちょうど9度上で——半音単位で正確に——再現します。

展開の装置

中間入り

提示部のあと、主題は近親調——属調(V)・平行調(vi)・下属調(IV)・上主調(ii)——で戻ってきます。middle_entry_in_related_key は宣言されたエントリの調をこの一族に制限し、エントリのすべての音がその調の音階に収まることを要求します。

「近親調」とは

スケールの構成音の大半を共有する調どうしを近親調と呼びます。共有が多いほど、耳は違和感なく調から調へ滑れます。属調と下属調は主調と調号一つ分しか違わず、平行調(長調の vi——ハ長調ならイ短調)は同じ構成音を別の中心で使います。

短調ではどうなる?

近親調の集合は主調の旋法に関わらず、主音からの固定距離——V・vi・IV・ii——で定義され、全音階検査は宣言された調の長音階に対して行われます。したがって短調のフーガでも、中間入りは近親の長調に置かれます(エンジンはエントリのために主題を長調形で歌い直します)。短調の古典的な定石——平行長調(III。ハ短調なら E♭ で、バッハのハ短調フーガが最初の中間入りを置く調)と短調の属調(v)——は、現行の集合の外にあります。

展開平行調での中間入り声部を順に再生
提示部のあと、主題は旅に出ます。譜例ではハ長調の主題が平行調のイ短調で戻ってきます。検証器は宣言されたエントリの調を近親調の一族——属調・平行調・下属調・上主調——に制限したうえで、エントリのすべての音がその調で全音階的であることを確認します。順に再生してみてください。同じ主題が、新しい感情の光の中で響きます。
middle_entry_in_related_key主題が vi の調に移されて戻り、すべての音がその近親調の音階に収まっています。

ストレッタ

展開ストレッタ — 重なり合う主題
ストレッタでは主題が主題を追いかけます。第2のエントリが第1のエントリの途中で始まる、フーガの頂点付近を熱くする常套手段です。検証器は本当に重なっていること、そして主題が正確に移調されていることを要求します。
stretto_overlap_valid先行声部が主題を歌い終わる前に、後続声部が主題を開始しています。

この装置を最もよく見せてくれるのが、平均律 I 巻を開くハ長調フーガです。バッハはほぼ全編をストレッタで組み立てており、第7小節ではすでに主題が1拍差で自分自身を追いかけています。

バッハの実例バッハ: 平均律 I 巻 ハ長調フーガ — 1拍差のストレッタ
ハ長調フーガ(平均律 I 巻、BWV 846)の第7〜8小節。ほぼ全編がストレッタでできていることで有名なフーガです。ソプラノが主題を歌い始めると、わずか1拍後にアルトが4度下で同じ主題を始め、どちらも最後まで歌い切ります。本物の重なりと正確な移調——stretto_overlap_valid が要求する二つがそのまま並んでいます。(この小節のバス声部は見やすさのため省略しています。)
stretto_overlap_validアルトはソプラノの1拍後、4度下で主題を開始します。先行声部はまだ4音目です。

保続音

展開主音の保続音
保続音は和声の時計を一時停止させます。保持されたバスの上では、経過的な衝突も正当化されます。検証器がここで検査するのは衝突の方ではなく、保続される音そのものが主音か属音か——この重みに耐えられる二つの音度か——という点です。
pedal_point_tonic_or_dominantバスが主音を保持したまま、上声がその上で不協和も交えて動きます。

保続音はたいてい終盤に現れます。最後の終止の前に張力を高める属音の保続、あるいは到着を確認する主音の保続です。このルールの向きに注意してください。保続音のの不協和を取り締まるのではなく(それはこの装置が公認する自由です)、保続される音そのものを取り締まります。

この装置の最も裸の形は、平均律 I 巻の最初のプレリュードにあります。終結の前、バッハは8小節にわたってバスで属音だけを打ち続けます——その内の2小節がこれです。

バッハの実例バッハ: 平均律 I 巻 ハ長調プレリュード — 動くことを拒むバス
ハ長調プレリュードの第24〜25小節——入門の譜例で第1小節に見たのと同じさざ波です。ただし今度は底を聴いてください。上では和声が交替し(属七、つづいて6/4位置の主和音)、その下でバスは G を、G だけを、何度も打ち続けます。ドミナント保続音です。曲中では8小節続き、終結が解放するゼンマイを巻き上げます——そして解放のあと、バッハは同じことをもう一度やります。第32小節から最後の和音まで、今度は主音 C の保続音に乗って。相方のフーガも同じ閉じ方で、最終小節の声部たちは保持された C の上を走ります。属音と主音——検証器がこの重みを許す、たった二つの音度です。
pedal_point_tonic_or_dominant交替する二つの和声の下で、同じ G が4回打たれます——緊張を引き延ばすドミナント保続音です。

検証器はこの章をどう見るか

ルールFailKind検査内容
tonal_answer_dominant_mappingMusicalFail変応の冒頭が主唱の開始ピッチクラスを I↔V で写像する。
countersubject_continuousMusicalFail応唱の窓のすべての4分音符位置で対主題の声部が鳴っている。
episode_motif_derivedMusicalFail嬉遊部の音が、宣言された元スライス×モチーフ変形の結果に一致する。
sequence_pattern_consistencyMusicalFail各段が種の正確な移調である。
imitation_entry_matchMusicalFail後続声部が宣言されたティック差と音程差で入る。
middle_entry_in_related_keyMusicalFailエントリの調が主調の {V, vi, IV, ii} に属し、音がその調の長音階で全音階的(主調の旋法は問わない)。
stretto_overlap_validMusicalFail後続が先行の主題区間の内側で始まり、正確な移調である。
pedal_point_tonic_or_dominantMusicalFail保続音のピッチクラスはすべて主音または属音。

第7章 形式固有の制約へ進んでください。

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